自己紹介文

大好きなもの。アナログプレーヤーの奏でる濃密な中音。ウッドベースのはらわたに染み渡るような底の底からやってくる地響きと、金粉撒き散らすかのようなシンバルの響き。管がひたすら前へ前へと突出してくるストレート・アヘッドなジャズ。植草甚一の洒落た悪文。開高健の精緻な語彙の数々。ウッディー・アレンの偏屈。寺島靖国の成金趣味オーディオ。司馬遼太郎の「お前、見たんかぁ?」的歴史観。輸入盤ジャズのB級趣味。どうしてもA級になりきれない悲しいB級映画と開き直りのC級映画。オシャレとモノイズム哲学に裏打ちされたマッキントッシュ・コンピュータ。愛と狂躁のラテンアメリカ世界と彼らの捲し立てる軽快なスペイン語。かつての持ち主の汗と涙と精液の染み込んだ古本。貧相きわまりないくせに妙なこだわりを持ち続けるプアなオーディオシステム。ケン月影描くところの、左右にゆっさゆっさと揺れる熟女のくねり尻。知れば知るほど分からなくなる我が母語・日本語と、タミル語起源説を唱える孤高の学者・大野晋。みなもと太郎のギャグ漫画。ジェームズ・エルロイのやるせないほどに乾ききった文体。自分の背丈と等身大のポール・オースターの優しい文体。その他、宇宙の森羅万象、諸事雑事に多情多恨。不惑どころか、ますますもって戸惑い過ぎの四十路男である。目指すは、高等遊民!悠々として、かつ急げ。(以上、開高健を気取りつつ。)